通貨戦争回避の可否、カギを握る米国

通貨戦争回避の可否、カギを握る米国。

タグ: 通貨戦争 米国

発信時間: 2010-10-27 11:48:24 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

通貨戦争が各国にもたらす被害は周知のとおりであるが、協議の裏側にはやはり各国の利益駆け引きが存在する。今回のG20では通貨戦争回避で一致しているものの、そのカギを握っているのはやはり米国の後続政策であるとの見方が強い。今回の為替騒動を引き起こしたのは米国で、新興経済体ではない。このまま大幅なドル安が続けば、通貨戦争回避の共通認識は、新興経済体が袋叩きに遭うのを黙って見ているに等しい。この側面から見れば、G20財務相と中央銀行総裁の間で合意した通貨戦争回避とは一種の願いでしかなく、実際には米国の貨幣政策がどのようなカードを出してくるかにかかっている。

また、米ドルが大幅に下落している今、G20財務相と中央銀行総裁が出した「自国通貨切り下げなし」宣言で、実質的に制約を受けるのは一体誰なのか、これも考察に値する。

共通認識下の底流、世界為替相場システムを左右するのは米政策

表面的な調和は、通貨戦争の沈静化を意味しているのだろうか。実際には、会議当日、各国は為替問題について激しい議論を展開していた。いずれも通貨戦争がもたらす危害については熟知しているのだが、どのようにしてそれを回避するか、そして誰がより大きな責任を負うかについては、それぞれの見解が一致しない。中でも、米国が代表する先進国側は、新興経済体は国内通貨切り上げを行うことで貿易黒字を減少させるべきだとするのに対し、新興経済体側は、先進国は貿易赤字を理由に新興経済体に対し国内貨幣切り上げの圧力をかけるべきではないとの見解を示した。

今年の6月以降、米ドルはすでに8%近く下落した。これにより各国が為替調整を行わざるを得なくなった今頃になって、今度はその米国が各国の通貨安競争回避の主導を始める。この前に、米国ガイトナー財務長官はG20財務相に宛てた書簡の中でG20諸国は競争力を高めるための為替政策は回避すべきだとした。しかし、この内容が各国の支持を得られるはずもなく、米国は今回の驚異的な下落の中で無数の国を敵に回すこととなった。

「米国の対内的な政策緩和の拡大及び対外的な米ドル下落、そして他国へはIMFを通して引き締め要求をすることで金融危機のプレッシャーとコストを責任転嫁する身勝手なやり口はすでに世界中の非難を浴びている。」興業銀行首席経済学家の魯政委氏はこう指摘する。

今回採択された共同声明では、為替について特に「準備通貨を保有する」先進経済体に言及している。業界では、これを議会が、米国の貨幣緩和政策が更なる米ドルの下落を招いたことに対するG20のその他の加盟国の非難を認めていることを意味するとの見方が強い。「多くの新興市場国家は米国が故意に米ドルを下落させ、彼らの輸出競争力にダメージを与えているのではないかと疑っている」との見方もある。ブリューデルレ独経済・技術相も、貨幣政策緩和は過った方向だとし、「貨幣供給の長期的かつ過度な増加は、間接的に為替操作をしているのと同じことだ」と語る。

魯政委氏によれば、今回の会議では表面的な妥協の下に本質的相違が存在し、将来的な摩擦は解消されておらず、世界的な為替問題には今後も課題が山積している。競争的切り下げの回避とは単に形だけの一致に過ぎず、結局は米国が言行を一致させるかどうかにかかっている。もし米ドルの下落が続けば、他国もそれに引きずられる形で関連措置を取らざるを得ない。

 

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