現在、熱い議論が繰り広げられている中国人民銀行(中央銀行)による通貨の超過発行がインフレを引き起こすとの見方について、同行研究局の張健華局長は15日、「広義マネーサプライ(M2)から国内総生産(GDP)を引けば、今年9月末現在、中国の通貨の超過発行額は43兆元に迫る」との見方には理論や現実的な根拠がない、との見方を示し、中国はこれから早急に安定的な通貨政策に回帰しなくてはならないと提起した。「新京報」が伝えた。
張局長によると、通貨はストックの概念であり、GDPはフローの概念であり、両者間で直接の差し引きはできないし、ある時点のストックから今年第1-3四半期(1-9月)のフローを差し引くこともできないという。
だが学術分野で一般的に用いられるM2をGDPで割る計算方法によれば、中国の通貨供給量は依然として多い。これについて張局長は、2009年のM2/GDPの大幅な上昇は一種の特殊な現象であり、国際金融危機のマイナス影響に対処する中で実施した、適度に緩和された通貨政策の結果だといえる。またこれにより中国のM2/GDPが今後一層上昇するとの結論は導き出せない、という。
張局長によると、基礎通貨の継続的増加と貨幣乗数の拡大により、中国の通貨が急激に増加した。国際収支が「双子の黒字」となり、外国為替資金残高の形で投入された基軸通貨が増加を続けた。2002年末から2010年9月末までの間に、外国為替資金残高が急激に増加したことにより、基軸通貨が3.6倍に増加。また金融危機への対応プロセスにおいて、人民銀が法定の預金準備率を引き下げたこと、さらに大量の貸出により商業銀行の超過準備率と現金比率が低下したことを受けて、貨幣乗数がまた著しく上昇した。
張局長によると、今後、中国は早急に安定した通貨政策に回帰しなくてはならない。人民銀も引き続き通貨条件が徐々に常態に回帰するよう誘導する見込みだという。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年11月16日