「世界の国々では鉄鉱石や石油、石炭資源の争奪戦も激しく行われており、レアアースよりもはるかに過激さを極める」と中国商務省研究院日本問題専門家である唐淳氏は語った。欧米諸国が声高に「レアアース戦争」などと言っているが、そんなのは架空の話である。レアアースと他の金属資源や石油を一緒くたにして比べるべきではないと言う専門家もいる。世界全体で1年間に必要なレアアースの量は12万トンであり、これは決して多いとは言えない。しかも、この12万トンの中には、先を見越した国などが多めに貯蔵する分も含まれるため、レアアースは鉄、銅、アルミニウムや石油のように大量に消費される資源ではない。料理で言えば味の素のようにちょっと使えば多大な効果を発揮する戦略的な重要性が高い元素なのである。また、レアアースが必要不可欠な国はとっくに中国の安価なレアアースを買い込んで大量に備蓄している為、現在の中国のレアアースに対する管理は他国を脅すには事足りない。他国が傍若無人な態度であれこれ言っているのは、中国に今後も不合理な低価格でレアアースを供給させる為である。戦略的な資源を独占している中国を優勢な地位から引き摺り下ろし、中国が劣勢に追い込まれた暁には、高価格で逆にレアアースを売りつけるつもりなのだ。これこそ、レアアースの輸入大国が中国を陥れるために仕掛けた罠である。ある日本の専門家は「日本を筆頭とする一部の国々のレアアースの新たな供給国の確保や自国の鉱山の再開発は、中国をけん制しているというのが確かに背景にある」と話した。
レアアースを切り札にして政治的駆け引きで勝利することを目論んでいる国に対し、唐淳氏は「レアアース市場が資源大国にコントロールされているという情勢を短期間のうちに変えるのは難しい。インドにしろ、ベトナムにしろ、大国相手にレアアースを適正価格で取引するのは困難であり、レアアース市場が規律正しく動くことは無理なのだ。インドやベトナムは自国の資源を政治交渉の道具にして、アメリカから戦略的な支持を得ようとしているが、結局は逆に利用されていることに気づくだろう」と述べた。
中国のレアアース戦略について中国科学院戦略問題情報研究センターの周城雄副主任は「生産量のコントロールだけでなく、技術の向上にも取り組む必要がある。大量の採掘の結果、中国のレアアース貯蔵量は1996~2009年にかけて37%減少し、今では2700万トンしか残っていない。現在の生産速度のままでいくと、中・重レアアースの備蓄はあと15~20年しか維持できず、将来的には輸入に頼ることになるかもしれない」と話した。また、レアアースの精製技術を進化させれば、中国は将来、レアアースを安売りせずに済むだけでなく、ベトナム、インド、モンゴルといった国々の採掘にも乗り出せる。さもなければ、数年後、他国のレアアース生産量増加を受け、再び価格競争という苦難の道を歩まなくてはいけなくなる。
英「デイリー・テレグラフ」新聞は、「レアアース紛争の真実」と題した記事を載せた。記事は中国に対してもフェアな立場で書かれていた。アナリストが以下のように分析している。「中国のレアアースは長い間あまりにも安すぎたのだ。世界はこのような価格の高騰に慣れなくてはいけない。特に、中国国内の工業での使用量増加が価格を押し上げている。このように、中国が世界に与える影響は巨大である。」
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年11月16日