第一に、国際影響力を競い合うことは以前にもまして、発展途上国とくに発展途上の大国に有利となる。世界の経済成長への新興大国の貢献率はすでに50%を超えており、その影響は経済という枠を超え、政治や文化、社会などの側面に及んでいる。「北京でオリンピック、上海で世界万博が開催されたのは偶然ではない。2010年W杯の南アフリカや次のブラジルもこの時代の潮流の一部なのだ。将来もこれに類する出来事があるだろう」
第二に、ポスト危機時代には突発的な体制面の摩擦や枠組みの再建が起こるだろう。G20首脳会議や世界銀行、国際通貨基金などにおいて、国際的制度の確立が政治・経済から他の方面へと拡大するとともに、従来の硬直した体制が柔軟なものに変わることになる。例えば、今回中国は博覧会国際事務局に参加して万博を開催したが、このことは国際博覧会協会と万博事業の発展にある程度寄与したはずであり、国際体制を発展させたという意義がある。
しかしながら、まさにこの上海万博の期間中にも、アメリカは中国周辺で影響力を維持しようと活発に動き、他者に対する圧力を増している。日中関係もこの半年は波乱含みであり、釣魚島問題が緊迫し、東中国海もおだやかでない。これらの変化はすべてポスト金融危機時代の錯綜した国際関係の縮図なのであり、中国がどう対応するかを考えるなら、新たな発展の原動力や成長材料を探すことが急務となると楊潔勉氏は指摘する。