第三に、ポスト危機時代には、テロ問題、環境保護、社会内在の問題など、従来にはなかった世界規模の安全問題が以前にもまして顕著になるが、問題の緊迫度に応じた解決能力を中国が持っているわけではない。これに関して、万博ではエコ経済や文化交流の理念が提示した「上海宣言」が発表され、こういった現代の重大な世界的問題の解決に向けて世界各国に新たなヒントが与えられた。しかし、中国がこれらの理念を実行に移すにはある程度時間が必要である。
一方で、万博外交は中国に大切な「遺産」を残した。この経験は今後、中国の二国間や多国間外交に非常に有益な参考となることだろうと楊潔勉氏は述べる。中国は全世界の注目を集める大国に向けて発展している最中であり、多国間の交流活動をすること自体が新たな成長材料となる。「多国間外交はますます重要となっており、また同時にますます困難になってきている」。これは中国という大国を確立するには避けることのできない問題であり、その発展プロセスの一部ともなるのだ。
万博後の10年を展望するとき、理念を引き上げることがまず第一の課題になると楊潔勉氏は述べる。のべ7300万人あまりが来場した万博に中国じゅうの省・直轄市・自治区が参加したことで、国民は現在の中国の経済・社会の発展、政治体制の改革、成長モデルの転換などについて新たな知見を得たはずである。この事実は大きな意味を持つ。第二の課題は実践分野の拡大であり、都市成長モデルや都市と農村の協調発展関係の構築を模索することが主となる。上海に目を向けると、万博効果は今後10年におよび、その国際金融センターと国際水上運輸センター建設過程に現れるだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年11月19日