「第12次五カ年計画(2010年-2011年)」の中で「中国の発展は依然として大いに力を発揮できる重要な戦略的チャンスの時期にある」と指摘されているが、これは国内外の情勢、新たな変化、新たな特徴、中国の成長の歴史的位置づけを科学的に分析して出された重大な結論だ。こうした戦略はどのように立てられたのか?中国の今後の発展にどう影響するのか?国家発展改革委員会マクロ経済研究院の王一鳴副院長、中国社会科学院数量経済技術経済研究所の汪同三所長、国務院経済発展研究センター金融研究所の巴曙松副所長に解析してもらった。
▽「ケーキ」の分割が益々重要に
--今後5年で中国経済が直面する課題とは?
巴氏:中国の個人所得は今後5年から10年で中の下から中の上に引き上げられると同時に、「中所得国の落とし穴」という重要な課題に直面する。中国は5年以内に経済の成長パターンを、高投資、高エネルギー消費、高成長という「クズネッツ式成長」から経済構造転換、技術革新、企業のミクロ管理制度の革新などを特徴とする「シュンペーター式成長」に徐々に移行していく必要がある。今後中国が経済成長を続けるにはこの道を選ぶほかない。
汪氏:経済の発展パターン転換の効果は、所得分配構造が改善されたかで判断できる。なぜなら、経済の成長パターン転換加速に伴う多くの問題、投資と消費構造の不合理、第三次産業の停滞、経済成長による資源環境の代価が過大、社会事業の停滞などはいずれも所得分配の不合理からその根源を見出だすことができるからだ。
所得分配に存在する問題は主に、▽住民所得の上昇が経済成長を下回ること▽それぞれの所得階層における所得格差の拡大傾向に歯止めがかからないこと▽都市部住民の所得格差および地域ごとの所得格差問題が有効に解決されていないこと---があげられる。中国の経済力が強まるに従い、社会の富という「ケーキ」は大きくなった。今ではこの「ケーキ」をいかにうまく分けるかが重要性を増している。
「人民網日本語版」2010年11月23日