日本の経済学者、大久保卓治氏はこのほど、人民元が1985年の円高の二の舞にはならないとし、人民元は緩やかに切り上げられるとの見方を示した。中国新聞網が伝えた。
かつてゴールドマン・サックスやメリルリンチに勤め、現在はフランスの大手金融機関ソシエテ・ジェネラルのアジア・チーフエコノミストを務める大久保氏によると、世界最大の貿易赤字国である米国が人民元切り上げ問題において抱える圧力は1985年頃の日本の状況を思い起こさせるが、中国の対米輸出の構造上、米国が人民元の切り上げ加速を迫ることはないという。
1985年当時の日本の対米輸出は自動車やトラックなどが中心だった。こうした輸出構造だと、米国は反ダンピング(不当廉売)などの手段によって容易に日本を屈服させることができるが、中国の対米輸出は相対的にバランスが取れているため、圧力に強い構造ができている。
中国外貨取引センターの統計によると、今月24日の人民元対ドル基準値は1ドル=6.6589元(前日比+0.0120)だった。人民元は緩やかに切り上げられ、来年末まで上昇幅は3-5%程度だと大久保氏は予測する。
バブル崩壊によって日本の不景気は10年続いた。資産バブルのリスクを防ぐ直接的な方法は金利の引き上げだと大久保氏はいう。中国の不動産価格高騰は、貯金の利率でインフレ上昇を相殺できないため、人々がありとあらゆるハイリターンのチャンスを求めていることから起こる。
10月に取った金利引き上げから中国の通貨当局がインフレと資産バブルの抑制に乗り出したことが伺える。
「人民網日本語版」2010年11月29日