中国では、1998年から2008年まで不動産業を基幹産業としていたため、各産業の発展が不均衡となったことによって産業の空洞化が生まれた。中国の製造業企業は大多数が不動産を手がけている。ハイアール(Haier)やハイセンス(Hisense)、ヤンガー(Youngor)が不動産市場に参入しているのみならず、長江三角州の製造業企業も多くが不動産業で事業展開している。不動産業のほうが製造業よりも収益性がよいためである。
端的に言うならば、1998年から2008年までの間に中国が不動産業を基幹産業としたことが、製造業と科学技術産業の技術革新や、高度技術分野と技術集約型製品の競争力に影響したのである。
経済のグローバル化と投資の自由化が進むにつれて、資本と資源も世界的範囲での最も適した位置に投じられるようになることは疑うべくもない。よって、海外への生産移転はどのような先進国にとっても、さらなる発展を目指す際に避けては通れない道となっている。こういった背景を踏まえると、中国は伝統的工業と労働集約型産業を海外に移転すべきである。不動産産業が基幹産業の役目を終えた現在、中国は産業空洞化の危機を乗り越えるために、世界経済の現況と科学技術の発展状況とを合わせて考慮し、新たな戦略的視点に立った産業リンケージを数多く構築し、確立しなければならない(即ち、多くの新製造産業を育成しなければならない)。
また、産業の再編と構造調整を速やかに進め、製造業と科学技術産業の技術革新を強化し、高度技術分野と技術集約型製品の競争力を高めると同時に、それに伴う高水準の金融業を確立することも必要である。(作者は経済学者の邱仰林氏)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年12月6日