(6)「両税」改革に新たな進展か
個人所得税と不動産税(両税)の改革は、かねてより最も注目を集める話題の一つとなっている。現在、この2つの税制改革業務が緩やかに推進されており、2011年に進展を遂げる可能性がある。個人所得税については、現在、中国の課税最低額は2千元であり、今後はこれが適宜引き上げられるほか、納税者の等級を適宜縮小し、税率を適宜調整して、総合化と分類とが結びついた個人所得税制度が構築される可能性がある。
不動産税については、現在、上海など一部の都市でモデル業務が積極的に進められており、試験的な不動産税政策が実施されている。十二五期間中、中国の個人所有の不動産が徐々に課税対象となる見込みで、初めのうちは社会のほとんどの層が具体的な課税範囲に入ることはないとみられる。
(7)不動産市場は高水準に停滞
今後一定の期間、国は引き続き不動産の調整政策を堅持し、保障性住宅の建設を拡大する方針だ。価格調整の効果がはっきりしないため、短期的には不動産市場の調整政策が、特に投機を抑制する政策が後退することはないとみられる。
2011年の不動産市場では価格が明らかに上昇する可能性は大きくない。政府が住宅ローンの引き締めを行ったり、未完成分譲住宅の手付け金に対する監督管理を強化したりしたことを受けて、不動産開発業者が資金チェーンが逼迫して一層の価格引き下げを行い、非弾力的な住宅ニーズが価格引き下げに積極的な反応を起こすことが予想される。現在のインフレ観測が不動産市場の情勢を一層複雑にしており、一方では不動産に投資して価格を維持・増大しようという個人の意欲を大幅に高め、また一方では金利引き上げというルートの開通により住宅投資コストを増大させている。