人民元投資の過熱に歯止めが必要
2010年、香港の人民元資金は急激に膨れ上がった。昨年11月末現在、香港の人民元預金はすでに2800億元(約3兆5千億円)に迫っている。さらにスタンダードチャータード銀行(SCB)がこのほど発表した報告書によると、香港の人民元預金は向こう5年間で、3兆元(約38兆円)に達する見通しという。
人民元業務が盛り上がりをみせる中、香港金融管理局(HKMA)は昨年末、人民元業務の管理に関する一連の新措置を発表した。主な内容は以下の4点。(1)海外に送金される通貨の中継地点となる「コルレス銀行」としての中国銀行(香港)の地位を維持した上で、リスク分散を目的とした人民元預金業務の委託制度を確立した(2)人民元の供給は、香港を中心、上海外貨取引センターを補助とした態勢で行い、かつ3カ月内に支払う場合に限る(3)銀行の人民元の持ち高上限を資産の1割とする(4)金融管理局は中国人民銀行(中央銀行)の通貨スワップを利用して200億元(約2500億円)の人民元プールを提供する。
うち香港銀行の人民元の持ち高上限を資産の1割以下とする新規定は、業界に少なからず衝撃を与えた。銀行の人民元持ち高に上限を設け、人民元の香港への流入を大幅に制限したことは、香港の金融市場における人民元の流動性を下げ、全体からみれば人民元業務の潜在力を押さえ込むことになる、と業界関係者はみている。
「人民網日本語版」2010年1月6日