▽中国企業、日本市場の開拓に大きな可能性
金融危機後、中国企業は海外進出に力を入れている。米コンサルティング大手アクセンチュア(ACN)と中国企業が共同でまとめた報告書によると、中国企業に最も人気なのは、日本をはじめとするアジア太平洋市場で、23%の中国企業がこの地域を海外進出の第一候補としている。
同報告書によると、日本をはじめとするアジア太平洋地域は中国に対して独特の地理的な優位性を持ち、中国の伝統的な輸出市場でもある。加えて工業化の発展が速く、一人当たりの所得が高いほか、市場のキャパシティーも大きいことから、中国企業の注目を集めているという。
中日両国の企業間の協力は相互補完という恵まれた条件を備えている、との見方が業界内では一般的になっている。中国社会科学院日本研究所研究室の張季風主任(室長)は「日本企業は先進的な技術や効率的な管理、成熟したブランドの面で強みがある。一方、中国、特に大手企業は資金面での強みがあり、これが日本の商業界を引き付けている」と指摘する。
中国企業が日本企業の大株主になったケースのうち、中国の繊維大手、山東如意科学技術集団による日本のアパレル大手レナウンの株式取得(41.18%)や、中国のオンラインゲーム大手、北京完美時空による日本のオンラインゲーム代理会社「C&C Media」の全株取得(2100万ドル)などは、業界内を騒然とさせた。また中国の自動車大手、比亜迪汽車(BYDオート)が日本の金型大手オギハラの工場を買収した一件は、中国メーカーの勢いを印象付けた一方、日本国内では技術流出をめぐる論議も巻き起こした。
中日両国の経済協力の見通しについて、専門家は、大きな可能性を秘めているとの見方を示す。中国は経済総量で日本を超えたが、一人当たりのGDPは日本の10分の1に過ぎず、両国間の相互補完性は依然として強いと指摘。これが中国企業による日本買いの加速に追い風となっているという。