▽並存するメリットとデメリット 中国企業は慎重姿勢
中国の唐家セン・元国務委員(センは王へんに旋)は、このほど開かれた第4回中日関係シンポジウムの開幕式で、中国の発展について「日本の対中投資に新たな環境をもらたすと同時に、実力のある中国企業の投資を促し、これが日本経済に新たな活力を注ぎ込むことになる」と述べた。
唐氏のこの認識は、両国企業の協力が持つウィンウィンの特徴を強調し、現状を見据えたものとアナリストは分析する。ぎくしゃくした関係や歴史的な要因により、隊列を成してやってくる中国企業に対して日本の商業界は国民感情をにじませ、ひいては中国経済脅威論を持ち出すことさえある。
香港ベンチャーキャピタル&プライベートエクイティ協会の陳覚忠主席はメディアに対し、「日本企業はブランドと技術の面でいまも優位性を持っており、中国企業は機会があれば、日本の企業やブランド、技術、販売ルートを買収するべきだ」とする一方、「国民的なプライドから、中国企業に買収されることを潔しとしない日本企業も多い」とその難しさも指摘。「買収を試みたが挫折した企業が過去にある」と語った。
同時に、日本市場には中国企業に対するさまざまな形の風当たりも存在する。日本の防衛庁は過去に、中国製パソコンを介した情報漏えいを防止する目的として、中国のパソコン大手レノボに関連部門を売却した米IBMからのパソコン調達を拒否している。中国の大手検索エンジンである百度は日本に進出した後、政策環境に適応できないことや、製品機能のずれ、それに市場の飽和などの要因でじりじりと敗退している。
このほか、中国企業は日本に対する投資、貿易など経済協力において、査証(ビザ)手続きの煩雑さや頻繁な税務調査など、実質的な問題も抱えている、と語る張主任。こうした技術的な問題は中日双方が高い関心を寄せるべきだ、と見方を示す。
複雑な投資環境や市場環境を背景として、日本に進出しているまたは進出を考えている中国企業は、ほとんどが慎重な姿勢を取っている。M&A助言会社「レコフ」の専門家は、1980年代の日本企業による米大手企業の買収とは異なり、中国企業による対日投資は規模が小さく、控えめで、保護主義の反発を招いてはいない、と指摘する。「中国企業は困難に面している(日本の)小規模企業に狙いを定めている。これら企業の技術やブランド、経営モデルにより、中国企業自身の業務価値を高めることができる」
報道によると、日本経団連の米倉弘昌会長は、中国企業の投資が急になだれ込めば、日本の国民の不安やパニックを招く恐れがあるとの懸念を示し、やみくもではなく穏やかな投資が必要としている。(編集YT)
「人民網日本語版」2011年1月19日