厳しい財政赤字や膨らむ債務に苦しむ米国は、その信用の防衛戦が迫っている。先週金曜日、米財政部は、国債が初めて14万億ドルを突破、国民一人当たり平均で4.53万ドルの負債を抱えていることを発表した。ガイトナー米財務長官の予測では、3月31日から5月16日までに米国債は上限を突破し、その経済回復に大きな悪影響を及ぼすとしている。
手っ取り早い解決策は上限の引き上げ
米国の法で定められた国債上限は14.294万億ドルで、14万ドルを突破したということは、米国の借入限度額までもう2900億ドルを切っている。しかし、財務部の予測では、1月から3月までの市場の純貸付額はすでに4310億ドルに達しており、その差は歴然だ。債務危機を逃れるには、財政部が2000億ドルの準備金を使わざるを得ない状態となっている。専門家は、上限の引き上げが最も手っ取り早い救済措置だと警告する。もし、財政部が手をこまねいていれば、米国経済の足を引っ張るばかりか、世界の経済と資本市場にも大きな影を落とすこととなる。
危ういトリプルA格付け
14万億ドルは、国内総生産(GDP)の66%をも占める大きな数字だ。投資者の中には、世界の主要格付け機関が米国の「トリプルA」最上級格付けを初めて変更するのではないかと心配する声もある。
経済学者の中には、これまでにも、2011年は米ドル中心の体系が崩壊し始める年となると予測した者がいた。国際通貨基金の予測では、米国政府の債務のGDPに占める割合は2015年までに85%にまで上昇するという。米国学術業界関係者は、米国の債務負担が90%を越えることがあってはならないと警告する。今月の早い時期にも、ムーディーズ及びスタンダード&プアーズのアナリスト達が、債務削減方面で何らかの進展が望めなければ、米国の最上級格付けの維持は難しいと警告している。
2002年以降、米国は8年連続で高い予算赤字となっており、FRBの量的緩和政策の継続も格付け変更のリスクを高めた。今年は何とか格付けを維持できたとしても、今後数年、その引き下げリスクは存在し続ける。米国はその50%の債務を海外の債権者が所有しているため、市場が混乱に陥った際、大規模な米国債投売りが起こり、情勢はますます悪化する可能性が高い。『ニューヨークタイムズ』は財務部が14万億ドルの財務赤字を発表した当日に、米国債を大量所持する中国の持分売却グラフについて特集した。その文章によれば、中国の米国債所有量は全体の1/5、2006年には半数を超えるまでになっていた。しかし、去年から中国は米国債を手放し始め、去年11月だけで約110億ドル、11月までの1年間では総額360億ドルの米国債を売却した。
投資者は、次のように見ている。米国財政部は何らかの措置をとるはずで、ガイトナー氏も信用を守るために国債の上限引き上げを働きかけるであろう。さもなければ、米国は海外からの貸付を受けられなくなり、雇用を増やす全ての事業は資金不足により中断し、税金の値上げを避けられない事態となる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年1月25日