まもなく訪れる中国の春節(旧正月)が、米国の小売業者を不安にさせている。「中国では、全ての人が帰省して春節を過ごす。」テキサス州に本社を構える商店の購買担当で副総裁のモーナ・ウィリアムズ氏は言う。これは、玩具からテレビまで、ありとあらゆる商品を製造する「世界の工場」が、15日もの長きに渡って稼動停止になることを意味する。
この年に一度の稼動停止は、決して珍しいことではない。しかし、今年は例年と違って、米国市場の大きな注目を集めている。それは、数千人の農民工(出稼ぎ労働者)が帰省した後、その多くが元の工場に戻ってこない可能性があるからだ。
中国の持続的な労働力の減少は、すでに米国の販売店で在庫不足を引き起こしている。中でも、数の少ない商品、例えば、金網のペンケースや組み立て式の引き出しなどはなかなか見つからなくなっている。ウィリアムズ氏によれば、「この4~6週間、我々は在庫が全くない状態で、一日数百万ドルの売り上げを逃している」という。
最近になって、ウィリアムズ氏の店の主要サプライヤーの一つが、中国工場の労働力不足のため、生産拠点をアメリカに移した。「彼はアメリカにも工場を持っているんだ。」ウィリアムズ氏によれば、このサプライヤーはもともと米国に持っていた工場を再稼動させ、一ヶ月以内には再び商品の出荷を行う予定だという。
また、中国工場から商品を仕入れている販売業者は、次のような通知を出している。「通常は、春節の影響で、サプライヤーの納期が若干遅れますが、今年は例年より数週間ほど遅れる見込みです。」ウィリアムズ氏は言う。「どれぐらいの遅れになるかは、春節が終わってみないと分からない。」