当面の急務は
「2011年世界経済情勢の分析と予測報告」は、「中国風」の勢いはすさまじく、力強いが、中国企業自体に多くの問題があるだけでなく、投資環境というものはいつも大きな投資リスクをはらんでいるため、中国の企業家たちは常に冷静さを保たなければならないと指摘している。
目下、中国企業と西洋企業との間には経営規模、企業業績、国際化度などにおいて大きな差がある。中国最大の採掘企業であるペトロチャイナの07年の海外資産額は68億1400万ドルで、ロイヤル・ダッチ・シェルの同年の海外資産のわずか3.5%である。ペトロチャイナとCNOOCの2社の資産を合わせてもロイヤル・ダッチ・シェルの10%にも満たない。また、大手グローバル企業に対抗しうる競争力をもつ発展途上国の企業100社に入っている中国五鉱集団の海外資産額も、世界の鉱業トップ企業であるリオ・ティント、BHPビリトン、バーレとは比べものにならないほど少ない。
業績の面では、中国企業は往々にして「巨大な労働力」という強みを有しているが、1人当たり資産額や1人当たり販売額などの経済効率指標は西洋諸国と大きな差がある。ペトロチャイナの07年の海外市場における1人当たり販売額は2781ドル、中国市場も含む1人当たり販売額は10万4000ドルであったが、ロイヤル・ダッチ・シェルはそれぞれペトロチャイナの717倍、32倍であった。
また、「中国企業の国際化度は西洋のグローバル企業に比べるとはるかに低い。3大石油企業のうち、2社の国際化度は10%にも満たない。この指標は発展途上国(地域)の有名なグローバル企業と比べても相当低い水準にあるといえる」と張副研究員は指摘する。
加えて、中国企業が海外投資を行う中で最初に直面するのは、日に日に熾烈になる海外同業者との国際競争である。西洋諸国及びインドや韓国などの新興国を含む各国のグローバル企業は、中国企業を台頭しつつある相手とみなすことが増えている。とりわけ、採掘業においては、これらの国の企業と中国企業は影と形のように寄り添い合う関係になっている。