改革開放の実施以来、中国の総合的な国力が飛躍的に向上し、社会には巨額の富が生まれたが、富の分配のアンバランスがますます目立つようになっている。人力資源・社会保障部労働工資研究所が発表した最新のデータによると、所得が最も高い産業と最も低い産業との格差が15倍に拡大して、格差が世界一になったという。「経済参考報」が伝えた。
▽過去20年間に労働所得の対GDP比が大幅低下
省別の収入の国内総生産(GDP)構成率に関するデータをみると、中国の労働所得の対GDP比は1990年は53.4%、95年は52.8%、2000年は51.4%、06年は40.61%、07年は39.74%と漸次低下し、00年から07年までの間に11.66ポイント低下した。04年には国家統計局が個人事業者の所得を労働所得から営業利益に振り替えたが、それでも対GDP比の低下は続き、低下の流れは止まらなかった。
労働所得の対GDP比低下だけで、一般労働者の所得の変動は説明できない。また1990年代初頭と比較するならば、労働所得の構造的変化も考慮する必要がある。第一に1990年代初頭には事業機関と企業との給与にはそれほど大きな開きがなく、企業経営者と一般社員との給与の差も大きくなかった。当時は企業の社員は基本的に社会保障費を納める必要がなかった。第二に1998年以降、事業機関はたびたび給与の引き上げを行い、企業では管理職と一般社員との給与の格差が20倍以上に拡大した。第三に1990年代中期以降、国有系の行政がらみの独占的産業は社員の給与が急速に上昇し、業界の平均所得格差が2倍前後から6倍以上に拡大した。第四に現在の企業社員の所得全体のうち、基本所得の10%は年金、医療保険、失業保険などの社会保障費として納めなければならないものだ。こうしたことから、この20年ほどの間に、企業の一般社員の実質的な労働所得の対GDP比は大幅に低下したと判断できる。