マグニチュード9.0の大地震が世界の新エネルギー市場にも激震を与えている。ヨーロッパの国々では原子力エネルギーの安全性への懸念から、反対の声が強まり、原子力エネルギー関連企業の株価は暴落した。一方、太陽光、風力エネルギーなど新エネルギー企業の株価は上昇し、新エネルギー業界は各国政府の支持を得るようになった。日本の大地震は連鎖反応を生み、新エネルギー分野に波及した。福島原発の事故は原子力エネルギー発展の妨げとなり、太陽光、風力エネルギーを中心とする新エネルギー市場は新たな局面を迎えそうである。
論争
原子力エネルギーにストップの声
日本で起きた原発事故の影響で、ニューヨークとフランクフルトの株価市場では今週、原子力エネルギーセクターが軒並み下落した。その内、福島原発に原子炉を6基提供しているゼネラル・エレクトリックの株価は2%以上下落。フランス国営原子力企業アレバの株も2日間で16%以上下落した。世界の大手ウラニウム採掘会社であるデニソン・マインズ、ウラニウムエナジー、ウラネーズ・エナジーの株価も暴落、3社平均で20%以上下がった。
これをうけ、欧米の投資機関は、日本の原発事故の影響により、欧米諸国は原子力政策を見直し、一部の原子力プロジェクトを見合わせる可能性が高いと予測した。
現在、ドイツはすでに、昨年採択した原子力発電所の稼働期間を3カ月延ばすとする計画を一旦取りやめ、17基ある原子力発電施設の安全点検を行うと発表した。また、ドイツのバーデン・ヴュルテンベルクとシュヴァルツヴァルトは同地域にある一部の古い原子力発電施設を閉鎖すると発表した。
ワールドニュークリアニュースは次のような文章を発表した。現在、原子力発電が総発電量に占める割合はドイツが約30%、フランスは70%を越えている。日本の原発事故が深刻化した場合、フランスは原子力エネルギー政策の変更を余儀なくされ、その動きは他の欧米諸国にも波及するとみられる。これにより、原子力エネルギー産業は多大な打撃をうけることになる。
しかし、原子力発電の比率が世界最大のフランスは今のところ、原子力エネルギー政策の変更について何の動きも見せていない。ヨーロッパの主要先進国は原子力発電への依存度が高く、短期間のうちに全面的な中止を決定することは不可能であるとの指摘もある。フランスは原子力エネルギーの分野で特殊な地位にあり、今後の政策が世界の原子力発電関連産業の運命を左右することになりそうである。
世界最多の原子力発電所をもつアメリカは、原子力エネルギー問題に関して、決定を下せずにいる。ホワイトハウスのジェイ・カーニー報道官はこのほど、オバマ政権は新エネルギー計画の一部として原子力エネルギーの発展を進めていくと明らかにした。アメリカ共和党のミッチ・マコネル氏らも、日本の放射性物質漏えいはアメリカの原子力エネルギー産業の復興を妨げる理由にはならないとし、引き続き原子力エネルギーの発展を支持する姿勢を見せている。しかし、アメリカ民主党のジョン・ケリー氏らは安全性の面から、原子力に反対する姿勢を示した。
各国による原子力の安全面への懸念をうけ、中国の東方証券は研究報告で、「アメリカは1979年に起きたスリーマイル島原発事故後、国内の原子力発電所建設を中止している。ヨーロッパも、1986年に旧ソ連で起きたチェルノブイリ原発事故以降、原子力発電施設の建設を基本的にストップしている。今世紀初めになって、原子力発電所建設は回復の兆しをみせていたが、日本で起きた今回の事故により、原子力発電産業は一時的にネガティブな影響を受けることになるだろう」と指摘した。
証券アナリストも『経済参考報』の記者に対し、「東芝はアメリカの原子力メーカー、ウスティングハウス社を買収し、三菱はフランスのアレバと原子力分野で戦略的提携を結び、日立はアメリカGE社の原子力事業を統合した。日本の原発事故が、この3つの原子力関連会社にネガティブな影響を与えるのは明らかであり、世界の原子力発電の発展もこれにより妨げられる」と述べた。
予測
太陽エネルギー、風力エネルギーの台頭