最新の報告によると、原発事故の損失を除外しても、今回の大地震による日本経済の損失は16兆円に達する見通しだという。G7による外国為替市場への協調介入が決定し、日本経済の深刻な後退のリスクが大幅に減少したとはいえ、今後、阪神大震災時に見せたようなV字型回復は期待できそうにない。
阪神大震災をはるかにこえる経済損失
日本の民間シンクタンクと証券会社5社がこのほど発表した報告によると、今回の大地震による日本の経済損失額は16兆円に達する見通しであり、1995年に発生した阪神大震災の9兆9線億円を遥かに上回る。以前、シティーバンクの村島喜一エコノミストは、地震の損失額は5兆から10兆円になると予測していた。
特筆すべきは、各社の見積に原発事故による損失が入っていないことだろう。ここで示された経済損失とは住宅、工場設備、道路などの損失額の総計である。1995年に発生した阪神大震災と比べ、今回の地震の被災範囲は広く、ゴールドマンサックスは今回の大地震による経済損失を16兆円と推計した。最も楽観的な推測を出したバークレー証券でさえ、5兆から10兆円の経済損失になるとしている。
経済発展に与える放射性物質漏えいの影響
今回の大地震は、地震、津波、放射性物質漏れなど様々な災難が複合するという史上前例のない事態となった。放射性物質漏えいは今回の災難の中で最も予測し辛い要素である。この問題をただちに解決できるかどうかは、復興作業の進行に関わるのみならず、震災後の経済発展にも関わってくる。
ある報道によると、放射性物質は特殊であり、短期的、長期的の区別はなく、現地の経済と製品の輸出に致命的な打撃を与え、人々は長期的に大規模な精神的な不安にさらされるという。
19日、茨城県産のホウレンソウと福島産の牛乳から基準を越える放射性物質が検出された。米紙ニューヨークタイムズは、食品の輸出額が日本の輸出総額に占める割合はわずかであるが、日本の自動車、電子製品も放射性物質の影響を受けているとすれば、日本の経済は深刻な影響をうけることになると報じた。
ある専門家は、今回の地震がおよぼした一連の影響は日本が優位性を持つ産業(電子、化学など)に打撃を与え、日本の企業はこれらの産業の一部をアジアの他の国家に移転する可能性があるとの見方を示した。
高まるV字型回復の難度