現在、国民所得の対GDP比は史上最低のレベルに落ち込んでいる。これと同時に、1990年代以来、国民の消費支出の対GDP比も継続的に低下しており、先進国の水準に遠く及ばないだけでなく、ブラジル、ロシア、インドの「BRICs」にも及ばない。国民所得の伸びが緩慢すぎれば、内需の拡大や消費の促進は語るべくもなく、消費という馬車も経済に対してふさわしい牽引力になることが難しくなる。
ふたたび日本の経験を振り返ると、国民所得倍増計画は消費を力強く喚起する役割を果たした。計画が実施された約10年間に、日本には約1億人の中産階級が生まれた。中産階級の背後には耐久消費財の巨大市場が控えており、日本の家庭ではテレビ、冷蔵庫、洗濯機などの耐久消費財の普及率が90%を超えるようになった。、
ある機関の分析によると、中国が所得倍増計画の実施に成功すれば、未来の内需が生まれることになる。まず消費規模の上で、労働生産率の上昇がもたらす所得水準の上昇に伴い、国民はより多くの現金を消費に回せるようになり、小売業は繁栄し、国内消費が経済発展を推進する重要な動力となる。次に消費構造の上で、食品、飲料品、衣類といった必要不可欠の消費財が国民の消費支出に占める割合が徐々に低下する一方、国民生活の質を高める耐久消費財、国民生活を豊かにする文化娯楽消費の割合が徐々に上昇することになるという。
「人民網日本語版」2011年4月1日