中国原子力科学技術情報・経済研究院が2008年に発表したデータによると、中国大陸には11機、計906.8万kWを産出できる原子力発電所が運転されている。しかし、総発電量に占める原子力発電の割合はわずか1.9%であり、世界の平均水準を遥かに下回っている。実際、原子力発電所をもつ世界31の国・地域の内、総発電量に占める原子力発電の割合は中国が最低である。一方、原子力発電の利用が盛んなフランスは78%、日本は30%、先進国の平均水準は20%である。
発展が遅れている主な原因は原子力発電のコスト
中国が長期間、新たな原子力発電所を建設していない主な原因は、コストが高すぎるためである。2008年のデータによると、石炭の輸送コストと採掘コストが上昇しているにもかかわらず、中国の火力発電の電力供給価格は依然として1キロワットあたり約0.4元を維持している。風力発電と原子力発電の電力供給価格は0.5~0.6元、太陽光発電にいたっては3~6元を越えている。どの発電も経済的に火力発電には敵わない。
しかし、石炭の輸送コストと採掘コストが今後さらに上昇すれば、原子力発電にもチャンスが回ってくる。現在、原子力発電に関する新規プロジェクトがたくさん計画されてきている。