遅れた原子力発電開発による現実的問題
環境保護問題、低炭素社会問題を如何に解決するか。
周知の通り、これまでは環境保護、特に汚染物排出削減が重視されてきたが、現在はそれに加え、低炭素社会、つまり二酸化炭素排出削減も重視されてきている。中国の環境汚染量と二酸化炭素排出量は世界一である。中国国民はこのことに心を痛めている。原子力発電は環境保護と低炭素社会を実現する有効な手段である。原子力発電を発展させないというのであれば、環境保護、低炭素社会というのは机上の空論でしかない。
水力発電、風力発電、太陽光発電にはまだ頼れない。
原子力発電を放棄するのであれば、火力発電に替わる他の発電方法を探さなければならない。水力発電はどうか?現在、水力発電建設が生態環境に影響を与えるかについて、各方面の意見は様々である。しかし、一つだけ言えることは、水力発電には地域や気候の影響をうけるといった課題が存在する。
風力発電と太陽光発電は、最もクリーンで環境保護に有効な発電方法であるといえる。しかし、少なくとも現時点では、太陽光発電のコストが大きな制約となっている。太陽光発電設備の建設費が高額なだけでなく、太陽光発電の電力供給価格は約3元で、火力発電の5,6倍である。風力発電に関しても、中国では、風力エネルギー資源の豊富な地区は草原地帯に集中しているが、それらの地域では電力需要が少ない。これにより、深刻な需給バランスの崩れが生じる。また、季節的な問題もある。中国は西高東低の地形であり、夏場は海から風が吹くため、あまり内陸部に風力発電設備を建設することもできない。
また、水力発電、太陽光発電、風力発電に対する反対の声も多く上がっている。例えば、水力発電は海洋生物に危害を加える、太陽エネルギー電池の製造の過程では、エネルギーを消耗したり、環境汚染を招いたりするといった批判の声が上がっている。風力発電でさえ、反対の声を上げる人が存在する。ヨーロッパには風力発電に反対するNGO団体が存在するほどである。それらの人々が反対をする理由は、風力発電設備が景観を壊し、鳥類を傷つけるからだという。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年4月7日