中国国家発展改革委員会経済研究所・財政金融室の張岸元主任はこのほど、「中国人民銀行が大量保有する外貨準備資産の評価損益について、各方面は言及したがらない」とする文章を発表した。はやりの言葉を使用すれば、中国の外貨準備を利用した海外投資の収益は相当な額で、年間収益率は約3%、管理レベルは各ソブリン・ウエルス・ファンドの中でもトップレベルにある。
しかし、為替差損を総合的に考慮すると、人民銀が保有する外貨資産の損失は脅威的な額に上る。年間の外貨準備増加額とその年の人民元対ドルの平均為替レートでコストを計算し、さらに切り上げ後の異なる為替レートで計算すると、2010年末時点で、2003年から毎年増加した外貨準備の為替差損は2711億ドルに達する。さらに、人民元の対ドル為替レートが1ドル6.0元まで上がれば、2003年以降増加した外貨準備の為替差損は5786億ドルに上る。この損失を外貨投資の利益で補うことは不可能だ。人民銀のほかに、このような欠損を出す取引を行う商業機関はない。これらは大まかな計算にすぎないが、さらに正確な分析を行っても為替差損を計上するという状況を覆すことはできない。
外貨準備高の維持・増加のニーズから見ても、マクロ調整の強化の効果から見ても、外貨準備高が違う方向に流れることが非常に切迫したことであるのは間違いない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年5月5日