メイヤー教授は、この一連の問題に回答するためには、日中関係の今後の動向を分析しなければならないとしている。ここで筆者の考えた今後の日中関係に関する「3つの仮想」を紹介したい。その3つとは、「日本が中国に従う」、「衝突する」「協力関係を結ぶ」である。1つ目の「日本が中国に従う」であるが、中国がアジアで強力な力を誇っていた時代には、多くの国が中国の秩序に従っていた。しかし、日本はどの時代にもこの秩序を受け入れたことはない。1つ目の仮想から2つ目の仮想「衝突する」が生まれた。日中両国は、自国の領土や安全が脅かされた場合、自国の利益を保護するために武装で対抗する可能性がある。3つ目の仮想「協力関係を結ぶ」というのは、日中両国がアジア共同体の基盤となり、フランス、ドイツがヨーロッパを一体化させたときのような役割を示すことである。
当然、メイヤー教授がこのような白黒はっきりした仮想を発表するはずがない。メイヤー教授は今後の時代を2つの段階に分けて説明した。第1段階は今後20年である。今後20年においても日中両国はアジアのリーダーであり続ける。日本が人口が低下し縮小した国内市場の埋め合わせるために、巨大なアジア市場を利用する一方で、中国はアジアのリーダーという立場を利用して世界大国としての地位を確立しようするという。第2段階は2030年~2050年である。この時期に関して、メイヤー教授は、不透明な要素が多く、2030年以降のデータの正確性が把握できないとして、具体的な分析を行っていない。(『アジアのリーダーになるのは中国か日本か』著:クロード・メイヤー 訳:潘革平 社会科学文献出版社2011年1月初版)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年5月13日