このほど、中国人観光客が2年連続で「フランスの一番のお得意さま」の称号を勝ち取ったというニュースが注目を集めた。大陸部観光客は香港ではショッピングカートを押して化粧品を買い、米国・ラスベガスでは店を貸し切り状態にして買い物し、フランスでは免税品購入額が6億5千万ユーロ(約61億3千万元)に達した。中国人の消費力の「流出現象」がますます注目を集めている。
▽内外の価格差が主要因
米国に留学する張凱悦さんは、帰国の時期が近づくと家族や友人から頼まれた長い買い物リストをもってさまざまな商品を一気に購入する。一番多いのは化粧品、次はバッグとデジタル製品だという、
多くの中国人が海外での買い物に熱くなる主な原因は国内と海外との価格差だ。上海市のある会社で働く李娜さんの化粧品は、ほとんどが海外から「飛んで」きたものだという。たとえばクリニークのフェイスクリームは、香港のクリニークカウンターでは330香港ドル、大陸部では450元だ。香港ではキャンペーンがしょっちゅう行われていることや、香港ドルと人民元とのレートの不均衡などを考え合わせると、上海で1瓶を買う金額で、香港では2瓶が買えてしまうという。
中国人が海外での消費を選択する重要な原因として、商品の新しさや接客態度の良さが挙げられる。前出の張さんは「(米国にいるときに)あるブランドの期末セールで買ったカバンが、中国の専門店では新商品の棚に置かれているということが何回もあった。海外ではショッピング環境も優れている。返品制度が保障されていることや販売員のプロとしての接客態度により、買い物のプロセスがより安心で楽しいものになっている」と話す。
海外でのショッピング消費は主に、海外旅行での買い物と代理購入とからなっている。国家観光局のまとめたデータによると、2010年の中国人の海外観光客数はのべ5400万人、海外観光支出は480億ドルで、一人当たり平均支出は約5800元となり、国内観光支出の平均の11倍に上る。ショッピング支出が海外観光支出全体に占める割合を50%として計算すると、海外ショッピング支出は240億ドルに達する。2010年度中国電子商取引市場データモニタリング報告によると、同年の海外での代理購入市場の取引規模は120億元に達し、化粧品とぜいたく品の取引が多かったという。
消費力の海外流出でダメージを受けているのは失われた関税だけではない。商務部の姚堅報道官は定例記者会見で、海外で調達して国内に持ち込まれた大量の商品は税関の統計に組み込まれておらず、中国の輸入規模を実際より数百億ドル低く見積もらせており、貿易バランスの判断にも影響を与えることになるとの見方を示した。