中国国務院は5月19日、三峡ダムプロジェクトが長江の中流、下流地域に悪影響を及ぼし、三峡ダムの下流に位置する3つの省では干ばつが深刻になっていると発表した。中国では、三峡ダムプロジェクトの弊害が次第に明らかになっている。あるメディアが三峡ダム地域の水質汚染について取り上げたことで、三峡ダムプロジェクトは再び議論の的となっていた。これをうけ、国務院は、三峡ダムプロジェクト関連の水環境問題の改善を図るよう指示した。
「三峡後続事業計画」が国務院で可決
中国国務院の温家宝総理は18日、国務院常務会議を招集し、「三峡後続事業計画」および「長江中下流地域水質汚染改善計画」について討議を行った。
会議では、人間本位の視点から環境保護や持続的な発展を考慮しつつ、プロジェクトへの資金投入を拡大、ダム周辺地域の経済・社会と環境のバランスのとれた発展を実現すべきだとの考えが強調された。
「三峡後続事業計画」では、2020年までに「三峡ダム建設による移住者の生活水準を湖北省、重慶市の平均水準にまで高めること、三峡周辺地域の人々に対する社会保障システムを確立すること、経済構造を整備すること、交通、水利などのインフラを整備すること、移住者の移住先の公共サービスの均等化を実現すること、生態環境の悪化を効率よく抑制すること、地すべり・がけ崩れなど地質災害を防止する長期的かつ有効なメカニズムを確立すること、防災減災に関する基本的なシステムを確立すること、などが主な目標として定められている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年5月19日