1970年後半に「平和的発展」の時代に突入してから現在までに、人類は2度の激動を経験している。1度目は1990年代初めに冷戦終結、国際社会再編を通して、市場の一体化をベースとする新たな世界構造を形成した時期である。現在、我々は2度目の激動に直面している。2008年のガザ戦争、金融危機に始まり、2011年の東日本大地震、ビンラディンの死で終わる2度目の激動は、先進国の全般的危機を引き起こした。また、先進国とは対照的に、新興市場国家が台頭してきたことで、国際社会はこれまでなかった構図となった。
先進国の全般的危機
全般的危機の特徴は先進国の生活の質の低下に顕著に現れている。10年前、これらの国は、「より高い生活水準を追求する」成長段階にあった。しかし、ここ最近の災いにより、これまで安定していた先進国の生活の質は絶対的に低下した。これは数十年間見られなかったことである。例えば、日本人は現在、「地震予測分布図」と「放射能拡散図」を手放せなくなり、水を飲んだり、野菜を食べるのにも注意を配らなければならなくなっている。また、欧米諸国に行きたければ、「世界テロ攻撃警告図」を用意しなければならない。このように、先進国の世界では、「衣食住と平和・安全」という最も簡単な願いが脅かされ、労働の安全、職業の安全、生活の安定などはさらに保障が難しくなっている。これは周期性のある一般的な不況が生み出す失業などとは全く性質が異なる。今回の危機の影響は種族にかかわらず多くの人に及んでいる。学者の統計によると、原発から半径50キロの範囲には日本の人口の10分の1に当たる1200万人が生活している。これは一般的な局地的災害とは異なる規模である。このような戦後かつてない規模の災害こそ、「全般的危機」と呼ぶべきだと筆者は考えている。
今回の全般的危機では、先進国の総合的国力が相対的に低下する一方で、中国など新興国が急成長を遂げるという現象が現れた。これは経済データにも表れている。北京オリンピック、上海万博など象徴的出来事や、金融危機からのいち早い脱却、国を挙げての復興支援体制などが強い印象を残している。対テロ戦争に忙しくする先進国とそれをしり目に急成長を遂げた発展途上国では明暗が分かれたが、最も重要な事は、政治的・経済的にアンバランスだった世界構造に新たな作用がもたらされたことだろう。今回の全般的危機の特徴は、新興市場経済体が「戦争」や「武力による新世界勢力図の形成」などで先進国に対抗したのではなく、相互協力で共存を果たしつつ、平和的に競争関係を築いたことである。このような特徴は「平和的発展」の時代を詳細に具現しているといえる。