(2)アジア向けが7割
中国の対外直接投資(FDI)の地域分布をみると、全体として、中国の対外貿易が先進国・地域に集中するのとは異なり、すでに公式統計に組み込まれた中国のFDIは、その多くが発展途上国・地域に集中することがわかる。2009年末現在、先進国・地域におけるFDI残高は181億7千万ドルで、同期の中国のFDI残高全体に占める割合はわずか7.4%だった。また09年末時点の中国のFDI残高上位20カ国・地域のうち、標準的な先進国は米国(6位)、ルクセンブルク(7位)、カナダ(11位)、ドイツ(16位)、英国(17位)の5カ国にとどまった。
帳簿の統計をみると、中国のFDI残高はアジアと中南米に最も集中する。08年末現在のアジアの中国FDI残高は1313億2千万ドルで全体の71.4%を占め、中南米は322億4千万ドルで17.5%を占めた。特に地縁や人の縁があるアジアは、中国資本の域外企業の数が最も多く、中国のFDI残高も最も多い。とはいえ、最近は資源分野の投資や投資先国の市場参入緩和政策などの後押しを受けて、対アフリカFDIが伸びが最も大きい。09年末現在、アジアの中国FDI残高は1855億4千万ドルで全体の75.5%を占め、中南米は306億ドルで12.5%を占め、アフリカは93億3千万ドルで3.8%を占めた。欧州は86億8千万ドルで3.5%、オセアニアは64億2千万ドルで2.6%、北米は51億8千万ドルで2.1%だった。
帳簿の統計データをみると、産業分布では、中国のFDI残高は第三次産業が最も多く、第一次産業がこれに続く(主に採掘業)。09年末のFDI残高上位6産業は上から順に、リース・ビジネスサービス産業(729億5千万ドル、29.7%)、金融業(459億9千万ドル、18.7%)、採掘業(405億8千万ドル、16.5%)、卸売・小売業(357億ドル、14.5%)、交通・輸送・倉庫・保管・郵便業(166億3千万ドル、6.8%)、製造業(135億9千万ドル、5.5%)だった。