中国の対外直接投資の特徴

中国の対外直接投資の特徴。

タグ: 中国対外直接投資

発信時間: 2011-06-02 17:42:32 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

(3)対先進国投資の障害

中国の対外直接投資(FDI)は急速に発展しているが、これはリスクがないということを意味するわけではない。実際、商業上のリスクであれ、政治的なリスクであれ、海外市場でのリスクは国内市場でのリスクを上回るのが一般的だ。さまざまな国境を越えた経営スタイルの中にあって、直接投資が直面するリスクは単純な輸出入貿易よりも多いといえる。

中国の投資は全体として、発展途上にある投資先国でより熱烈に歓迎される一方で、発展した投資先国ではしばしば保護主義や政治的な邪推による制限を受けているといえる。発展途上国をはるかに上回る市場規模を擁する先進国が、これまでに導入した中国のFDIで発展途上国を明らかに下回るのは、こうした保護主義や政治的な邪推が重要な原因だ。

こうしたことを背景として、2010年の欧州経済危機の際、米国誌「フォーリン・ポリシー」スペイン語版の編集長らは、「ニューヨーロッパ」誌に「中国に欧州を救わせる」と題する文章を発表。中国からの投資に対する欧州の保守的な考え方ややり方を批判し、「がたがたになった欧州経済を中国に救わせよう。外国からの投資はこれまでずっと経済の回復や成長を支える有効な方法だった。不幸なことに、欧州の大部分の人は危機への反応で反対の方向へと進んでいる。さまざまな新規定は外国資本の流動にマイナスだ」と述べた。

投資受け入れ国の多くが、中国の投資市場への参入をめぐり厳格な要求をうち出していることには、おのずから必然性がある。全体としていえることは、中国は国際直接投資市場では新参者であり、個人、機関、政府を問わず、新たにゲームに参加する競技者に、適応や習慣化のプロセスを踏むよう求めるのはごく自然な感情だということだ。中国側は十分な忍耐力と時間を注いで、ますます増える投資受け入れ国や利害関係者が中国の投資の発展に適応し、慣れるようにしなければならない。

問題は、一部の先進国で保護主義の傾向が非常に強いことだ。かつての欧州共同体(EC)から現在の欧州連合(EU)まで、国際貿易の世界では「欧州の要塞」ということがずっと言われているだけでなく、最近はさらに蔓延して、勢いよく発展する中国の海外投資を一層疎外するようになっている。こうしたことは、中国の「黒字還元」や欧州の中国チャンスの分かち合いにとって、いずれも利益にならないことだ。欧州の人々は中国の対欧州貿易が黒字であるといっていつも攻撃しながら、なぜ中国による黒字の還元をあれこれ口実を設けて断ろうとするのだろうか。

さらに悪いことは、これまでの覇権を保とうとして、西側諸国のかなり多くの勢力が、勃興する中国を新興の手強い挑戦者とみなしていることで、これが事態をとりわけ複雑なものにしている。米国においてこの傾向が最も顕著だ。90年代初めにブッシュ政権が「業種規制あるいは国家安全保障にかかわる規制」(エクソン・フロリオ条項)を引き、大統領が直接関わって中国航空技術進出口総公司によるシアトル企業の買収を阻止したケースから、華為公司が08年に米国のベインキャピタルと共同で3Comを買収しようとして果たせなかったケース、10年にモトローラの移動通信ネットワーク業務を買収しようとして失敗したケース、11年に米国の3リーフ社の一部資産の買収から手を引かざるをえなかったケースまで、中国製造業企業による米国の資本集約型・技術集約型産業への直接投資プロジェクトは、米国側に「国の安全を守るため」という理由で相次ぎ阻止されている。

経済開放を通じて飛躍的な発展を遂げた中国は、他国と発展の成果を分け合いたいと望んでいる。00年以来、中国の輸入の伸びが世界の輸入の伸びの2倍に達すること、FDIが急激に増加していること、対外支援も発展していることは、いずれも中国の姿勢を明らかにするものだ。他国が中国チャンスを分かち合いたいと望むなら、企業から政府まで一定の努力をし、相応の調整を行うべきだ。

われわれは、中国の投資に対するより厳格な安全審査を中国の発展成果に対する一種の承認とみなすことができる。われわれは発展の代償を引き受けなければならず、これは大国が発展する過程で避けて通ることのできない段階だ。とはいえ、中国からの投資を受け入れる先進国は、どのようにすれば自国の持続可能な発展の利益に合致するかをわかっていなくてはならない。われわれの貿易パートナーが包容力ある心によって国の利益を増進させることができるよう願っている。

「人民網日本語版」2011年6月1日

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