中国工業情報化部は、公式サイトで『中国工業経済運営2011年春季報告』を発表した。それによると、中国人民銀行の通貨政策は過剰流動性を抑制すると同時に、企業の資金面の圧力を強め、小企業が銀行から貸付を受ける難度を高くしている。
今年1~4月の統計を見ると、工業経済の運営状況は安定しているが、生産コストは上昇し、企業経営の難度は高まっている。1~4月期の中国の工業生産者購買価格指数は前年同期比10.3%上昇し、うち燃料・動力購入価格は11.6%上昇した。生産者物価指数(PPI)はわずか7.0%の上昇にとどまった。労働コストは引き続き上昇し、2010年に30の省(区、市)が最低賃金基準を引き上げた(平均22.8%引き上げ)のに続き、今年は北京、重慶、江蘇、広東など13の省・市が再び最低賃金基準を大幅に引き上げた。労働コストの上昇は、企業の運営コストを引き上げたと同時に、資金繰りを悪化させ、中小企業の融資難という問題をより際立たせた。
人民銀の今年に入ってからの2度の利上げにより、企業の資金調達コストは上昇し続けている。
関係機関の計算によると、中小企業が銀行貸付を受けるコストは少なくとも13%上昇し、この上昇幅は1年物の基準貸付利率を大きく上回る。そのほか、製品の在庫は急増し、経済運営は減速の圧力に直面している。1~4月期の一定規模以上の工業企業(国有企業または年間売上高500万元以上の非国有企業)の在庫は前年同期比23.2%増加し、昨年末より12ポイント上昇した。うち、鉄鋼業、板ガラス業、石油化工業、自動車業、軽工業、繊維業などの在庫は同20%以上増加、非鉄金属業、セメント業、電子業なども高い水準となっている。これは主にインフレ観測の強まりと需要低下によるものと見られる。過去の経験を見ると、在庫の増加幅が20~25%であれば、「在庫調整」に入る可能性が高い。特に今年は企業の資金繰りが悪化し、工業経済成長率は減速するとの見方が強い。それに高水準の物価(特に上流原料)が加われば、企業の生産・経営は更に難しくなる。
『報告』は、上半期の一定規模以上の工業企業の工業増加額は前年同期比で約13.5%増加すると予測している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年6月3日