世界一長い鉄道「京滬高速鉄道」の開通が間近に迫り、沿線都市の不動産価格が値上がりを見せている。アナリストによれば、高速鉄道は駅周辺都市の経済を大きく刺激し、その経済押し上げ作用は転じて購買力の伸びにもつながるという。またこれにより、沿線都市近郊エリアの不動産価格も徐々に上昇すると見られる。新華網が伝えた。
山東省済南市にある済南西駅は、京滬高速鉄道の五大始発駅のひとつだ。鉄道はまだ開通していないが、周辺の不動産ではすでに待ちきれずに「高速鉄道ブランド」を打ち出し始めた。市内のある建設中のマンションは、駅からわずか1.5キロメートルの距離にあり、販売開始直後に購入希望者が押し寄せた。2年前、このエリアの価格は1平方メートル4000元前後だったが、今では6400元に達している。
済南在住で物件探し中の張氏は、「このあたりの部屋は、駅から近くて便利なだけでなく、将来的に大きな値上がりを期待できる」と話す。
京滬高速鉄道は、北京、天津、上海の三大直轄市と河北、山東、安徽、江蘇の4省を縦断する。山東社会科学院経済研究所の張衛国所長は、「京滬高速鉄道沿線都市は、文化的に見ると中国歴史上の数々の文化が蓄積されている。相対的な経済規模から見ると、これらの都市は、中国経済の中でも最も発達したエリアだ。こうした文化的、経済的、地政学的な優位点が絡み合うことで、沿線都市の不動産は今後大きな利益を生み出すだろう」と語る。
不動産価格のすでに高い上海や北京などの大都市に比べ、京滬高速鉄道の沿線にある二・三線都市は鉄道開通後の経済効果に大きな期待を寄せている。山東大学不動産研究センターの李哲崗主任は、「これまでの鉄道駅には主に、交通拠点としての機能しかなかったが、京滬高速鉄道の駅には多くの副産物がついてくる。新しい駅の周辺は、総合発展区域として整備が予定されている。オフィス、商業、ホテル、不動産など多くの発展が期待でき、都市に大きな経済効果をもたらすことだろう」と語る。
しかし一方で、京滬高速鉄道沿線の不動産価格は、長期的には有利だが、短期的な影響は大きくないかもしれないとする専門家もいる。張衛国所長は、「沿線付近が栄えるまでには3年前後が必要で、投資効果はその後にようやく表れるだろう」とする。
「人民網日本語版」2011年6月21日