ウィーンで開かれている国際原子力機関(IAEA)閣僚級会合に出席中の中国国家原子力機構の王毅靭事務局長は20日、国際社会は日本の福島第一原発の放射能漏れ事故を教訓にし、原子力発電の基準を調整すべきとの考えを示した。
今会議で中国代表団の団長を務める王毅靭氏は、中国政府を代表して行った発言で、「経験と教訓の総括、原発の安全基準の調整、原発の安全に関する情報の共有、IAEAの指導的役割の発揮の4点に力を入れるべきだ」と主張した。
王毅靭氏は発言の中で、以下のことを提案した。
国際社会は日本の原発事故発生前後の技術リスク、管理体制、政策決定メカニズム、改善措置、対処方法、情報公開などを振り返り、経験と教訓をまとめ、それを各国の共有の財産とすべきである。
日本の原発事故を教訓にすることについて、特に設計基準を超えた度重なる自然災害や極端な自然災害、二次災害の影響に重視しなければならない。IAEAは原発建設地の基準に関する調査実施を優先的に考慮し、地震が多い地域やその他の自然災害の影響を受ける可能性のある原発の建設地に高い条件を設け、度重なる自然災害への対応力を高めるべきである。
IAEAは『原子力事故の早期通報に関する条約』の調査を行い、補足条項を制定し、事故(事件)のレベルに基いて、程度別に原発事故の通報内容を規定すべき。また、原子力関連機関は自身の資源の優位性と権威的な立場を十分に利用し、原子力安全に関する国際協力などの面で指導的役割を発揮し、人々の原子力の安全性に対する自信を再構築すべきである。
さらに王毅靭氏は、日本で原発事故が発生した後に中国政府が採った措置を紹介し、中国政府は原子力安全を大いに重視し、安全第一の原則を堅持していると強調。「中国も日本の原発事故の経験と教訓を真剣にまとめ、汲み取り、適切な措置を採り、原子力施設の極端な自然災害への対応力や緊急対応能力を高めていく。中国は安全を維持することを前提に、原発を引き続き発展させていく方針だ」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年6月21日