シンガポールの華字紙「聯合早報」は18日、「カンフー+パンダ=?」と題する記事を掲載した。中国文化の精髄であるカンフーと中国を象徴する動物であるパンダを合わせたアメリカの商業映画「カンフー・パンダ」は、アメリカ映画界に富をもたらす「招き猫」となっていると指摘する。中国国営の通信社「中国新聞社」(電子版)が伝えた。
英国放送協会(BBC)の17日の報道によると、「カンフー・パンダ2」が中国で好評を博し、13億の人口を抱える中国の映画市場がハリウッドに春をもたらしている。「13億の中国人がハリウッド映画を見るために1元ずつ使っただけでも」、利益は膨大になる。このため、中国の文化的要素を取り入れた映画制作が中国市場に進出するための成功モデルとなっており、ハリウッド映画界は今後、中国人の俳優や技術スタッフのさらなる起用により、中国市場の取り込みを図るとみられる。しかし問題も少なくない。中国の映画市場はいまだ完全には開放されておらず、海外映画は一年に20本の公開放映しか認められていない。つまり膨大な市場が目の前にあるにもかかわらず、ハリウッド映画業界は手をこまねくしかない状態だという。
中国で大好評のカンフー・パンダだが、中国のインターネット上では案の定、議論も巻き起こしている。ハリウッドが中国の文化的要素を含んだ映画を作ったことは、中国文化の勝利を意味し、成功の“逆輸入”とする見方がある。例えば、中国で有名な女英雄「花木蘭」(ファ・ムーラン)がディズニークラシック映画に登場したことで、「花木蘭」が「Mulan」へと姿を変え、中国のこの伝統的な物語が世界に広く知られるようになった。
中国の四大奇書のひとつである「西遊記」や「三国演義」などの映画がいつの日かハリウッドで制作され、中国だけでなく世界中で人気となれば、中国人はうれしい反面、複雑な心境にもなるだろう。中国文化が世界中に発信されることが喜ばしい一方、正真正銘の中国文化であるこれらの作品を世界に発信するため、アメリカの力を借りなければならない現状が中国人に歯がゆさを感じさせるのだ。
あるデータでは、「カンフー・パンダ」は中国国内で1億8千万元(約22億円)の興行収入があった。しかし「カンフー・パンダ2」の人気はさらに絶大で、中国国内の上映初日に6千万元(約7億4千万円)のチケット売り上げを記録し、上映9日目には興行収入3億元(約37億円)を突破した。
つまり、カンフー+パンダの答えはというと「人民元」なのだ。
「人民網日本語版」2011年6月22日