何が中国人を苛立たせるのか
「世界第二位の経済大国になったというのに、なぜ我々の生活は世界第十位の国にも及ばないのか。」という一見とても説得力のある疑問に、多くの不満を抱く中国人が頭を悩ませている。北京大学の学者、張頣武氏は22日、『環球時報』の取材に対し、中国はその急速な台頭により、人々の国や社会に対する期待が大きくなり、福祉等の諸問題に対する見方が厳しくなったのだと話す。欧米の先進国と比べ、中国は大きく遅れているが、そこには、米国人のGDPが4万ドルであるのに対し、中国人は4000ドルしかないという客観的事実がある。同済大学ドイツ問題研究所の鄭春栄教授によれば、中国社会では今、至るところで業績主義や即効性を求められることが多く、それが知らず知らずのうちに全ての人々の心の負担になっているのだという。
フランス『論壇報』に掲載された論評によれば、国際社会においては、中国人が以前とは比べ物にならない自信を自覚しながらも、それに相応する尊重を得られないときには、盲目的に国際的な表彰を追い求めたり、代償を考えずに企業買収を行ったりするのだが、それは、全ての国家が避けては通れない道であり、いつか中国が、ヨーロッパ諸国のように自身を正しく理解できるようになったとき、その判断はより理性的で客観的なものとなるという。
フランス『新新聞』誌は、中国人の苛立ちを次のように分析する。中国は急速な発展を遂げたが、社会的バランスがとれておらず、経済発展により日進月歩で変化する一方で、環境問題や社会福祉、貧富の差や社会的不平等多くの問題を抱えている。あるいは、それはこの大きな国土と大量の人口を持つ国が避けることのできない大問題なのかもしれない。このような複雑性は、社会における各階層の人々の心理や思考に偏りをもたらしやすい。そして、その偏りがそれぞれ違う方向を向いていることが最も恐れるべき事態である。