中国の製造部門は今、急速にバリューチェーンのハイエンド方向へと向かっている。これまで低品質の衣類やプラスチック玩具を作っていた中国の工場は、現在では精密な電子部品や1台あたり数十万ドルに及ぶ機器を製造するようになった。
中国がハイエンド製品を生産するようになったのは必然的な流れだ。中国の労働力コストは北米よりは低いが、現在急速に上昇している。付加価値の高い製品を生産することで、インフレを効果的に抑制し、巨大な製造業部門の競争上の優位を維持することが可能になった。より精密な製品を生産すれば、従業員と企業の収入が増加し、中国が「輸出よりも内需拡大で経済を牽引する」という長期的な目標を達成する上でプラスになる。
中国というアジア経済の強国が製造業のバリューチェーンを上昇することは、中国経済の変革を暗示しているだけでなく、すでに打撃を受けている西側諸国の製造業部門にとって新たな脅威となる。ハイエンド製品は今なお欧州諸国や北米諸国の製造技術の最後の砦であり、アジアは主に低コストの製造業者だ。とはいえ今の中国は技術的な格差を縮める準備をすでにしており、比較的低いコストで精密製品を製造している。