2010年の春運では、広州鉄路集団の管轄内にある主要列車駅、たとえば武広高速鉄道の駅で同制度に基づく検札や改札が行われた。同集団は各駅にできるだけ多くの改札口を設け、電子読みとり設備を設置して旅客の身分情報をチェックした。春運期間中、大きな駅には乗客の波が潮のように押し寄せたが、前年よりもずっと秩序を保っていたという。乗客は同制度のために待ち時間が長くなることもなく、いわゆる効率を犠牲にすることもなかった。人々が眼にした状況は、ダフ屋が大幅に姿を消し、旅客輸送の秩序が極めて大きく改善されたというものだった。この年の広州鉄路集団での同制度試行は成功を収め、乗客は「公平な乗車」に大きな期待を寄せるようになった。
実名登録制度が確実に実施されるかどうかでは、迅速な検察設備を導入することが問題なのではなく、改札ルートを増やすことが問題なのでもない。問題は人にある。具体的にいえば、鉄道側の管理者が同制度に基づく乗車券販売や改札を厳格に実行し続けられるかどうかが問題なのだ。
他人の身分証をもって乗車したり改札から出ていった場合、検札する側が乗客の情報すら確認できないとすれば、実名登録制度をどうやって実施するというのだろうか。有名無実化した同制度はダフ屋に対する一種の承認になる。鉄道部門は座して手をこまねいているわけにはいかない。それでは人々からの信頼を自ら破壊しているようなもので、人々が長年待ち望んでいた「乗車券を公平に購入できる環境」はますます遠のくばかりだ。
「人民網日本語版」2011年8月9日