8月8日、米格付け機関のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、米国のソブリン債(国債)格付けを最上級のAAAからAA+に1段階引き下げた。米財政赤字および債務の拡大が格下げの理由とされている。
日本の公的債務対GDP比率は米国をはるかに凌ぐ異常な規模にまで膨れ上がっている。S&Pは、止まることを知らない日本の債務膨張を考慮した結果、2011年1月28日、日本国債格付けをAAからAAマイナスに引き下げた。だが、この度の米国債格付け引き下げによる国際経済市場への影響の大きさと比べると、日本国債格付け引き下げはそれほど大きな波紋を呼ぶことはなかった。
もとより、日本では経済の長期停滞により税収が低迷し、財政難が続いていた。2000年以降、現行の社会保障政策を維持するために、予算は毎年1兆円を超すペースで膨らみ続けており、日本政府は次から次へと借金を重ねることで財政を賄ってきた。つまり、日本の財政見通しは米国よりも悪いのである。また、2000~2010年における米国の人口増加率は日本より10%高い。先進国としては高増加率を示す米国には、まだまだ経済成長できる可能性が秘められている。日本の人口は減少の一途をたどっており、財政見通しは悪い。だが、ソブリン債ショックの舞台・ギリシャなどのような経済危機が起きたわけではない。その理由は何だろう?