◆ 2006年より毎年、世界経済全体における日本以外のアジアのシェアは欧米の和を上回っている。アジアの家庭支出は、徐々にアメリカを抜きつつある。そのため、たとえアメリカとヨーロッパの消費が現状の水準で低迷し続けたとしても、世界全体の消費者支出は増加を続ける可能性が高い。国内市場で減益している欧米企業は、成長市場であるアジアに希望を見出している。世界経済はおそらくアジアが牽引するかたちで回復すると思われる。
(HSBCアジア経済研究部 範力民)
◆ 世界経済において、多くのダウンサイドリスクが表面化し始めている。コモディティ価格の上昇、不安定な不動産市場、金融システムの問題と国際貿易交渉の停滞などである。EU圏の債務危機とアメリカの債務上限引き上げ交渉も、リスクに数えられる。そう考えると、世界経済回復への足取りはきわめて重いと言えるだろう。
(経済協力開発機構事務総長 アンヘル・グリア)