◆ アメリカ経済は2年間の景気回復の後、再び減速を始めた。個人消費は回復しない上、世界的に債務が増加していることもあって、自分の首を絞めることになる財政出動による景気刺激策は効果的ではない。かといって緊縮財政政策をとれば、状況はさらに悪化することになる。ヨーロッパ経済も個人消費の伸び悩みに直面している。ユーロ圏における平均失業率が10%という状況で、給与収入だけに消費を頼るのでは抜本的な解決は見込めない。以上から世界経済はさらなる悪化をたどっていく可能性が高い。
(スペインの経済評論家 ローランド・アスタリタ)
◆ 金融危機が去って2年後、各国政府の債務負担が重石になり、欧米経済は急激にシュリンクし始めた。アメリカの不動産需要の低迷は消費者の消費意欲を削ぎ、景気回復の足かせとなっている。同時にヨーロッパのソブリン債、特にギリシアの債務投資は恐らく債権者に損失をもたらし、ヨーロッパの銀行業が不振に陥る可能性が高い。これら二つの巨大リスクを解決しなければ、ただでさえ足元の弱い世界経済の回復がさらに大きく遅れることになりかねない。
(国際通貨基金総裁 クリスティーヌ・ラガルド)