増税には、野田新首相の強気の態度が現れている
だが今回の増税には、野田新首相の強気の態度が現れている。税率引き上げ幅は恐らくもっと大きくなると見られており、より総合的な対策が推し進められるだろう(例:法人税の引き下げによる企業の競争力の強化)。2010年、日本の歳入は、同年が期限の債務を下回るほどであった。消費税による歳入額は税収の中でも25%を占めている。消費税が1%上がれば、税収が2兆5千億円近く上がるはずであり、直接的な財政効果が見込まれる。
消費税の税率引き上げには政治的リスクが付きまとうとしても、野田新首相はその方針をぶれないで実現していく構えを見せている。上述したように、今すぐに税収増を実現できれば、日本政府が抱える債務残高に対する諸外国からの危惧の声を抑えることができる、という直接的な要因のほか、日本の経済情勢が一向に上向かないことが大きな要素が挙げられている。総務省の統計データによると、日本の失業率は7月には4.7%に達している。また、民間企業の資金需要が伸び悩んでいる。野村総合研究所のチーフエコノミストであるリチャード・クー(辜朝明)著の「大衰退」によると、日本経済はなおも「バランスシート不況状態(バブルが崩壊し借金に見合う資産がなくなった民間企業が一斉に利益の最大化から債務の最小化にシフトすることからおこる不況)」にあると推測されている。一生懸命モノを作り、融資の返済にあてるが、決して融資を受けようとはしない。
増税案はトライしてみる価値はある