1.ここ5年、日本の対中直接投資は低迷状態が続き、それ以前の投資は消化しつくされ、回復期が到来した。
2.政府の方針のもと、日本企業は対中投資を控えた。その一方で、インドやベトナム、ブラジルなどへの投資を増やしたが、期待していたような効果が得られず、企業は再び中国に投資するようになった。
3.近年の中国の対日投資の急速な増加が、これまでの日本が一方的に中国に投資していた状況を変えた。2010年末時点で、中国の対日直接投資額(金融商品を除く)は9億ドルに迫った。対日投資の急速な増加は日本の対中直接投資をけん引した。
4.大地震の影響で、日本企業は産業が国内市場に集中すればリスクが高く、災害に備えて海外に拠点や生産施設を建設する必要があると認識するようになった。また、中国は高成長段階にあり、収益率が高く、市場規模も大きいため、市場開拓型の対中投資を増やすのは当然の動きである。インドやASEANなどと比べて社会インフラが整い、投資環境が良い中国は、日本企業の災害に備えた拠点、生産施設になるのにふさわしい国である。