オバマ政府は輸出促進を当面の目標に掲げるが、多くの先進国が揃って危機的状況を迎えていることに加え、日本・英国・スイス・中国が自国通貨の過剰な高騰に警戒心を示しているという背景から、輸出活性化はそう簡単なことではない。となれば、アメリカは米ドルを引き続き下落させることで輸出をはかるという策をとれないことになる。
また、日本の家庭はたいてい純貯蓄を持つのに対し、アメリカの消費者は不動産価格が上昇することを頼りに支出をまかなってきた。つまり、不動産バブルが消えれば、持ち家のローンを払う能力もなくなるということである。こういった事情を考えると、アメリカとしては日本と同程度の苦境で済むならば、それで上出来なのかもしれない。
貸付の増加に支えられた資産バブルが崩壊したとき、債務の膨張で成り立つ民間部門(日本なら企業、アメリカなら家庭や銀行)は債務を減らすよう最大限努力をすることだろう。そうなれば借金の需要がないのだから、米連邦準備制度理事会(FRB)や日本銀行がしたように利率をゼロにするという対策をとっても、経済を活性化することはできなくなる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年9月30日