中国人民銀行金融研究所は「人民元レートの形成メカニズム改革の進捗に関する回顧と展望」と題した報告書を発表し、中国がレートを操作し人民元の価値を過小評価しているという米国からの批判に対して、事実とデータにより反論を行った。人民日報が報じた。
同報告書によると、1994年の為替レート改革から2011年9月末までで、人民元対米ドル相場は計36.9%上昇した。2011年8月末現在、国際決済銀行の計算による人民元対主要貿易パートナーの名義有効為替レートは計33.4%、実質有効為替レートは計58.5%上昇している。国際決済銀行がモニタリングした通貨58種のうち、人民元の名義有効為替レートの上昇率は13位、実質有効為替レートの上昇率は10位となった。
またドル相場は1971年1月~2011年9月まで、計36.1%下落しているが、米国の貿易赤字は改善されていない。米国はマクロ政策と構造調整を行わずして、為替レートのみにより国際収支の調整を行うことはできない。米国が人民元レートの問題に固執する原因は、自国の問題を棚上げにし他国に責任を押し付け、経済問題を政治化することだ。このようなやり方で米国国内の経済問題が解決されることはなく、そればかりか中国との経済・貿易関係を悪化させ、世界経済の復興を損ねるだろう。
同報告書は、元高により中国と米国の貿易バランスの問題を解決することはできず、米国の就業問題を解決することもできないとまとめた。
第一に、米国の貿易赤字はこれまでの延長線上の問題である。マクロ政策と構造調整を行わずして、為替レートのみにより国際収支の調整を行うことはできない。