第二に、中国と米国の貿易バランスの問題は、貿易赤字の転換による効果を反映したものである。2005~2010年、中国の一般貿易黒字は2729億ドル(約21兆円)、加工貿易黒字は1兆4600億ドル(約112兆円)に達した。中国は主に、欧米・日本・東南アジアの産業移転による最終的な加工と組立を行っている。輸出高は全ての商品価値を現し、うち大部分は米国以外からの輸入であるが、中国が産業チェーン全体で得る利益はわずかな加工費用のみである。
第三に、米国は中国との自由貿易において、確かな利益をあげている。中国米国商会が2008年に在中国企業238社を対象に実施した調査によると、71%の企業の利益が世界平均を上回り、80%の企業が追加投資を検討していると回答した。モルガン・スタンレーの調査報告書によると、中国の対米輸出により、米国の消費者は年間1000億ドルを節約し、米国企業は6000億ドルの利益をあげることができ、スタンダード&プアーズ指数の企業利益総額の10%以上を占める。
第四に、米国の輸出制限は、中国と米国の貿易バランス問題を引き起こす主な原因である。米国は冷戦時代の思考を続け、安全を理由に、中国へのハイテク製品輸出に対してさまざまな制限措置を講じている。米国前商務相のゲイリー・フェイ・ロック氏も「貿易バランス問題の最大の解決策は、中国への輸出を拡大し、中国からの輸入を制限しないことだ」と表明した。
市場化は人民元レート制度改革の不動の目標だ。人民元レート形成メカニズムの改革は人民元レート形成メカニズムの完備化を進め、レート形成に対する市場の作用を拡大する。同報告書は、「中国は国際収支の基本バランスの維持が、自国および世界経済に対する重要性と必要性を十分に認識している。人民元レート形成メカニズムの改革を安定的に継続し、人民元レートをフレキシブル化し、国際収支の調節に対するレートの積極的な作用を発揮する」とまとめた。しかし、レート形成メカニズムの改革が、全ての問題を解決できるわけではない。人民元レート改革が「主導・抑制・漸進」の原則を貫徹するのは、物事の成り行きに応じて利を求め害を避け、国内外で生じる可能性のあるマイナス影響を最小化し、構造調整とそれに伴う改革に向け時間を確保するためである。
「人民網日本語版」2011年10月14日