欧州債務危機は解決が難しく、米国経済は復興への力が乏しく、株式市場や債券市場は混乱している。現在、低迷を続ける欧米諸国の経済状況が前へ進もうとする世界の足を引っ張っており、中国の国民経済にも影響を与えている。「人民日報」海外版が伝えた。
国家統計局の盛来運報道官が18日に国務院新聞弁公室で行われた記者会見で述べたところによると、今年第3四半期(7-9月)の状況から考えて、特に月間データの変化から考えて、欧州債務危機、米国国債の格付け引き下げ、国際金融市場の混乱、とりわけ世界経済の復興プロセスの鈍化が、中国の国家経済に一連の影響を与えることは避けられないとみられる。なぜなら中国経済は対外開放レベルが高く、世界経済との一体化レベルが高いからだ。
▽真っ先に影響を受けるのは輸出
国民経済を牽引する消費、投資、輸出のトロイカのうち、真っ先に欧米経済低迷の影響を受けるのは輸出だ。盛報道官の指摘によると、対外貿易を例に取れば、9月の中国の貨物輸出入額の伸びはいずれも8月を下回った。特に一部の国の通貨の対人民元レートが下落したことにより、中国の対外貿易企業は為替リスクが増大し、輸出コストも増大し、中国の輸出増加にとってマイナスとなった。
中国交通銀行の連平チーフエコノミストは取材に応える中で次のように述べた。欧米経済の低迷が中国の国内総生産(GDP)に与える影響で最も重要なものは貿易に対する影響だ。海外でのニーズが縮小し、ここ2カ月間は中国の輸出の伸びが鈍化し、輸出が落ち込んでいる。
過去数年間、中国の輸出の伸びはおおむね20%以上を維持してきたが、今年9月は17.1%だった。税関によると、輸出の伸びの鈍化について、税関は過去数期の貿易情勢分析報告の中で、海外経済の疲弊ぶり、国内の製造業購買担当者景気指数(PMI)の輸出受注指数の低迷、輸出部門が直面する巨大な構造調整圧力などを総合的に判断して、今年の輸出の伸びは20%以上を維持するのが難しいこと、内需拡大戦略が奏功して輸入の伸びが輸出の伸びを上回る見込みであることをたびたび指摘してきた。また税関の分析によると、今年第4四半期(10-12月)は比較の対象になる前年同期の数字が高いことや、国内市場および海外市場のニーズがいずれも力強い拡大へのエネルギーを欠くことから、11月、12月は輸出入の伸びが小幅に低下する可能性があり、通年の輸出の伸びについては15%前後になるとの判断を維持するという。
輸出が影響を受けるだけでなく、資本の流動や市場の変動への影響もある。連氏によると、資本の流動に対する影響は、最近の資本流出の歩みの加速に現れている。資本の流出には現地経済の救済のためのものもあり、危険を回避するためのものもある。現在の一連の資本流出はよいことでもあり、人民元上昇圧力を緩和すると同時に、外貨準備の増加幅を抑えることにつながる。