▽外部環境を心配し過ぎる必要はない
欧米経済の不振は中国のGDPにどれほどの影響を与えるだろうか。
連氏は「外部環境の悪化について過度に懸念する必要はない。中国経済の成長エネルギーはその多くが内需からきているからだ」と話す。現在、輸出の鈍化がGDPに与える影響は限定的だ。欧州の債務危機には救済の手がさしのべられ、最近では主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議がギリシャの債務減免や銀行への資本注入といった積極的なシグナルを発している。現在、2008年のリーマン・ショックのような危機が発生する可能性は大きくないし、経済に雪崩現象が起きる可能性も大きくない。このため欧米が中国の輸出に与える影響という要因は小さくなりつつある。同時に、中国は数年にわたり内需を積極的に発展させ、輸入を推進し、対外貿易黒字を減少させてきた。07年の対外貿易黒字の対GDP比は7.5%だったが、数年間の調整を経て、現在は3.35%に低下した。この指標が物語るものは、外部環境が中国のGDPに与える影響は縮小しており、経済成長の動力は内需からますます多く得られるようになっているということだ。
中国の対外貿易の輸入の伸びは上昇を続けている。盛報道官によると、年初以来、特に第3四半期には、中国の貨物輸入の伸びが貨物輸出の伸びを3%ほど上回ったとみられる。これは一方では中国の経済発展における内需の動力の強さを物語り、また一方では中国経済が世界の復興のために行う貢献が増大し続けていることを物語るものだ。
復旦大学経済学院の尹翔碩副院長が取材に応えて述べたところによると、欧米経済が二番底に陥るかどうかを正確に言い当てられる人はいない。本当に底に陥るなら、中国の経済やGDPに多大な影響を及ぼす。欧米経済が落ち込むだけなら、中国の輸出やGDPに対する影響も落ち込みという形で現れることになる。尹副院長自身は底に陥る可能性は低く、落ち込む可能性は高いと考えるという。
欧米経済は具体的に中国のGDPを何ポイントほど左右するのだろうか。連氏の分析によると、今年の状況からみて、貨物分野とサービス分野の輸出入額がGDPに与える影響はマイナス1ポイントとみられる。状況は08年よりも大分よい。08年当時はサービス・貨物分野の輸出入額のGDPへの影響はマイナス4ポイントに迫り、現在のグローバル経済の状況は当時よりもよいといえる。
「人民網日本語版」2011年10月19日