ギリシャ政府がEUの支援策について国民投票を実施すると発表した。これをうけ、ヨーロッパの株式市場は軒並み5%以上下落、アジアの一部の市場も下落を続けた。ギリシャのパパンドレウ首相は2日、国民投票を12月にも行うと明らかにした。
支援策決定が水の泡に
ギリシャの国民投票の決定にEU各国は驚きを見せた。EUは先週、首脳会議を2度開催し、なんとか支援策をまとめたところだ。フランスのサルコジ大統領は、「国民投票の決定はヨーロッパ全土を驚愕させた。フランスは、17のEU加盟国が可決した解決案は、ギリシャ債務問題を解決できる唯一の方法だと主張したい」と批判した。
サルコジ大統領とドイツのメルケル首相は2日にもパパンドレウ首相と緊急会談を行う。同会談には欧州理事会のファン・ロンパウ議長やIMF(国際通貨基金)のラガルド総裁などが出席する予定。
怒りを示すドイツ高官
国民投票の決定に対し、債務危機最大の支援国ドイツからは強烈な非難の声があがっている。ドイツ自由民主党(FDP)のブリューデレ議員団長は、ギリシャの決定に対し「苛立ちを覚える」と語った。ブリューデレ氏は、「ギリシャがこの決定を受け入れないのであれば、自滅の道を歩むことになる」と批判。ドイツのキリスト教社会同盟高官は、「緊縮策を拒否すれば、援助はうけられず、最終的にEUを離脱しなければならなくなることをギリシャは理解すべきだ」と非難した。
イタリアとイギリスからも「EUの安定を揺るがす決定だ」との批判が出た。イタリアのベルルスコーニ首相はメルケル大統領との対話で、「ギリシャの決定は間違いなく市場にマイナスの影響を与える」と話し、今回の決定については、「全くの予想外。不安が強まった」と述べた。
民意のみを反映させた決定
ギリシャのランブリニディス外相は、イタリアのフラッティーニ外相との電話で、「国民投票の決定はEUの救済計画を疑問視したものではなく、計画の実行をスムーズに行うための国民の支持を得るため」と話した。パパンドレウ首相もメルケル首相に対し、「国民投票はギリシャの状況を改善する」と述べている。しかしこの日、ギリシャの株式指数は6.9%下落した。
ギリシャ政府は債務危機から脱却すべく2009年に増税、人員・給与削減など緊縮政策の実施を決定したが、緊縮を受け入れられない国民からの反発に遭っている。
この緊縮政策はEUの支援を前提としており、10月27日にEUで採択された新たな支援策が、国民投票で可決される見込みは低い。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年11月3日