だが大量の調査や報道が次のような事実を伝えている。アップル社の高い利益の背後には、代理生産企業の労働条件の過酷さや巨大な圧力があり、これらの企業で働く労働者の権利や心の健康が直接損なわれている。また監督の欠如があり、代理生産工場から出る廃水や廃棄物が環境に取り返しの付かない損害を与えている。こうした「代償」は、アップルの代理生産企業が利益を薄くすることでなんとかまかなっている。
深セン市(広東省)の富士康と昆山市(江蘇省)にあるアップルの代理生産企業数社を取材した記者は、「iPadはジョブズ氏のまた一つのドル箱となった。アップル社の光り輝く表の顔の裏に隠されているものは、労働者の汗と金銭的な剥奪とで織りなされた利益のチェーンだ」と指摘する。確かに、iPadやiPhoneは利益率が50%を超えながら、中国の代理生産企業が手にする利益はわずか2%程度だ。同記者は「こうして1990年代以降に生まれた若い約40万人の中国人労働者が、現地の最低賃金を基準として設定された基本給で、厳格な秘密保持が行われている生産ライン上で、生涯のうちで最も美しい青春の時間を消耗している」と話す。
おかしなことに、これまでアップルの産業チェーンで最末端に位置づけられた中国が、今ではアップル製品の売上高の伸びが最も急速な地域になりつつある。ジョブズ氏は生前、中国市場に注目することはなく、中国を訪れることもなかった。ジョブズ氏はその「偉大なインスピレーション」を組み立てて絶妙な製品を生み出す底辺の労働者に注意を向けなかったものとみられる。だが今年第3四半期(7-9月)、中国エリア市場はアップルの売上に38億ドル分の貢献をした。
「人民網日本語版」2011年11月8日