●インド:参加の意志なし
●韓国:消極的
●日本:意見がまとまらず
●参加決定国:利益獲得が困難
アジア太平洋経済協力会議(APEC)第19回非公式首脳会議が、米ハワイ州で開催された。国際金融報が報じた。
現地時間11月12日夜、オバマ大統領夫妻が晩餐会を開催。会議に参加した各国首脳を歓迎し、「アロハ精神」(あたたかいもてなし、友好的な提携、困難を共に乗り切る精神)で各国の提携を促進することを願った。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)は、オバマ大統領が強く推し進める政策だ。
◆アジア各国が慎重な態度
TPPは初め、シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの4カ国が、2005年にAPEC枠組内で締結した、小規模な自由貿易協定である。2009年にシンガポールで開催されたAPEC会議上で、米国はTPP交渉への参加を宣言し、TPPが世界的に知られることとなった。米国はその後、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアの参加を促した。現在までに、APEC加盟国21カ国のうち、9カ国がTPP参加国となっている。国際通貨基金(IMF)のデータによると、2010年のTPP参加国のGDPは計16兆9000億ドルに達し、世界のGDPの27.2%を占めた。
米国の働きかけを受け、日本、韓国、カナダ、フィリピン、タイ、パキスタン等の国家がTPP交渉参加の意志を示したが、順調には進んでいない。
2010年10月、菅直人元首相がTPP交渉参加の是非を検討すると表明したが、この1年余り、日本国内では意見が分裂している。その主な原因は、農産品の市場開放等の問題に対する日本社会の懸念がある。TPPの規定に基づくと、日本はTPPに加盟した場合、参加国10カ国の間の輸入関税を取り消す必要があり、日本の480億ドル(約4兆円)規模の農業市場が開放されることになる。日本の農家は日本の伝統農業が、安価な輸入農産品に圧迫されることを恐れている。国会議員もまた、TPPは農林水産業に大きな影響をもたらす上、国民全体の生活に影響すると指摘している。
TPP参加国にとって、TPPは予想されていたほどの利益をあげていない。米国は昨年、ニュージーランドの第3位の乳製品輸出先国となり、ニュージーランドから米国に輸出される乳製品は計7億1100万ドル(約550億円)に達した。しかしこれについて、自由貿易の貢献を示す詳細なデータが存在しない。むしろ信頼できるデータによると、オーストラリアから米国への輸出高は2008年の179億豪ドル(約1兆4320億円)から、昨年の145億豪ドル(約1兆1600億円)に減少している。計算をすると、米国が得をしていることになり、弱い立場の国家が利益を得ることは難しいことが分かる。