環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が最近よく取り沙汰されている。日米はTPPをめぐり、中国や東アジアの方向性に対する政治的解釈を行い、日米の戦略的意図が浮き彫りになっているが、そうは思い通りにいかないだろう。
TPPは、北大西洋条約機構(NATO)でもなければ、日米安保同盟でもない。単なる域内の経済協力体制に過ぎないが、米国はTPPに政治色を持たせようとしている。中米の経済貿易やアジア太平洋の協力体制が健全でうまく意思疎通ができている今日の状況にあって、これは、わざと問題を起こし、自ら悩みの種を作るようなものだ。
政治や軍事でなら、日米間にはもともと「安保同盟」が存在し、台湾海峡、朝鮮半島は目の前にある「火薬庫」であるのに、どうして回り道をする必要があるのか?台湾海峡等は現在いい方向に向かいつつある一方、日米安保は普天間基地問題でさえ解決できずにいる。今の軍政メカニズムはどれも力不足で、TPPを政治の道具としたい日米だが、そう思い通りにはいかないだろう。
日米がTPPから相互に利益を得たい意図は明らかだが、結果は損を見ることになるだろう。
まず、TPPは協力形式に過ぎず、各協力の実体を土台にしなければならない。形式は実体に影響するが、実体には代われない。日米は、形式で操作すれば、自らの実体の困難を解決し、自国の経済的、社会的難局を緩和できると考えているが、それは本末転倒だ。