合意の背景
現在、中国は日本にとって最大の貿易パートナーとなっている。日本による中国への人民元建て直接投資は、人民元建て貿易決済、海外での人民元建て債券や株式の発行とともに、中国の三資企業(中外合資、中外合作、全額外資企業)利益の海外送金、株式転換、資本減額、清算、投資撤収時の利便性向上につながり、通貨交換による為替差損の回避と取引コストダウンの実現に役立つ。
それだけでなく、今回の合意により人民元の越境流動のリスクを下げることができる。ここ数年、人民元は周辺国・地域に受け入れられ、一部の国や地域が相当規模の人民元を備蓄している。この大量の人民元が一度に中国に還流するとなると、中国の金融市場は大きな打撃をうける。海外の人民元資金による中国国内投資は、海外の人民元資金の秩序ある国内還流を導き、人民元の越境流動のリスクを軽減することになる。また、外貨流入圧力の緩和と人民元発行規模の縮小の面においても一定の効果がある。
より重要なことは、海外人民元資金の国内還流メカニズムの形成で、海外人民元資金のルールに基づいた国内還流ができ、これは人民元国際化における重要な進展であると同時に、人民元資本取引の自由化に基礎を固めたことにもなる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年12月26日